内科・消化器科・循環器科・皮膚科
鵜浦医院
〒029-2205
岩手県陸前高田市高田町鳴石22-9

TEL: 0192-55-2125

ドクターUの健康豆知識

第五回 <骨は若さのコンダクター(指揮者) >

骨は体を支える構造物ですが、他にも色々な働きがあります。
特に最近の研究で若さに関係する伝達物質を放出することがわかってきました。

<骨の役割>

①体の構造物:体を支える、内臓を守る

 構造物として強度、軽さが必要とされるため、右のような構造となっています。
よく鉄筋コ
ンクリートの建物に例えられますが、セメント(カルシウム)だけではなく鉄筋(コラーゲン)の存在も重要です。

②血液を作る

 赤血球、白血球、血小板などの血球は、骨の中心部にある骨髄で作られます。

③カルシウムの貯蔵

 体内のカルシウムの99%が骨にあり、血液中のカルシウムが不足すると、骨から補給されます。なお、カルシウムは重要なミネラル成分で、骨形成の他血液凝固、脳、心臓、筋肉の働きに関係します。

④若さに関する遺伝物質の放出

<骨の強化法>

①運動

下肢に衝撃を加える運動が有効です。
例)かかと落とし、しこ踏み、縄跳び、ジョギング、散歩

②栄養

鉄筋コンクリートを連想して下さい。セメントはカルシウム、鉄筋はタンパク質にあたり、これらの栄養素が重要です。また、ビタミンD(カルシウムの吸収率を高める)、ビタミンK(骨の形成を促す)のビタミン類も必要です。

③日光を浴びる

ビタミンDが体で作られます。


第四回 <睡眠は健康のバロメーター>

快食・快眠・快便とよく言いますが、睡眠は健康の秘訣であり、バロメーターでもあります。良質の睡眠は意識して得られるものではなく、健康的な生活により自然に得られるものなのです。とは言え、睡眠の仕組みを理解し、それに応じた工夫をすることは有意義です。

<快眠のための6ヶ条>

①朝日とともに起きる

 人間には体内時計の機能が備わっており、毎日の時刻合わせが必要です。その大きな因子が光であり、朝日によって体内時計がリセットされることにより15~16時間後に「睡眠ホルモン」であるメラトニンが分泌されます。(下図参照)

 したがって、朝の起床が、夜の睡眠に関わってきます。カーテンの隙間を少し開けるなどの工夫で、朝日を感じて目覚めると良いでしょう。

②眠くなったら、ちょっと昼寝

 昼寝は、短時間で脳の疲労を回復させます。午後からの集中力、活力を生むだけでなく、睡眠不足を補う効果があります。ただし、昼食後から2時の間に、15分程度の時間(30分以下)にとどめるのが注意点です。

③就寝の1~2時間前には、TV・パソコン・スマホを止め

 強い光や青色の光(ブルーライト)は、脳を興奮させメラトニン分泌を妨げます。上記の機器は、ブルーライトを多く出すため就寝前は避けましょう。また、夜間は暗めの電球色照明が良いとされています。

④入浴は就寝1~2時間前に

 入浴が睡眠に効果があるのは、リラックス効果で副交感神経が高まるからです。また、体内温度を一時的に上げ、後の体温低下が眠気を誘うとされています。この温度変化に要する時間が1~2時間なのです。

⑤夜中に目が覚めても考え事をしない

 下の表をご覧下さい。加齢とともにメラトニン分泌が減少するため、中高年になるに従い夜中目が覚めやすくなります。こんな時一つでも考え事をすると、次から次に考えが湧いてくるものです。ぼんやり考え事をしないコツを覚えると良いでしょう。

⑥健康3原則が快眠の秘訣

 冒頭でも述べたように、快眠は健康的な毎日を送ることにより自然に得られるものです。右のイラストをご覧下さい。食事、運動、生きがいについて自分なりの日課を作り上げ、続けることが最も大切です。ただし、強い悩みなどにより精神的に不安定になった場合は、医師や臨床心理士に相談する必要があります。

第三回 <検尿でわかる事  上>

検尿は試薬テープを尿に浸すだけの簡単な検査ですが、
右の写真のように蛋白、糖、潜血に加え、比重、pHなども知ることができます。

各項目についてどんな事がわかるのかお話し致します。

①蛋白

 腎疾患がよく知られていますが、過激な運動、ストレス、脱水でも一過性に 出現することがあります。

②糖

 一般的には、血糖値160~180mg/dl以上で尿糖が出ます。
コントロー
ル不良の糖尿病はもちろんですが、空腹時血糖、HbA1cが正常でも尿糖の出現は注意が必要です。
下図のような「血糖値スパイク」が起き
ている可能性があるからです。
血糖値スパイクは血管を傷め、脳梗塞、
心筋梗塞の大きな危険因子となります。



第三回 <検尿でわかる事  下>

③潜血

 試験紙による潜血検査は必ずしも血尿と一致しない場合があるので、顕微鏡で赤血球を確認しなければなりません。
しかし、スクリーニングとしては
有用で、腎、尿管、膀胱などの尿路疾患を発見するきっかけにもなります。


例)尿潜血(+)で発見された 膀胱癌のエコー画像

④比重

 尿の濃縮度を示します。診断として使う事は稀ですが、水分の摂取状態を知る良い方法です。
冬場の電気毛布使用、夏場の発汗などによる水
分不足は、脳梗塞、心筋梗塞の原因にもなりかねません。
外来指導には
欠かせない検査です。

⑤pH

 尿の酸性度を示しますが、食物により変動するため診断的意義よりも野菜不足など食生活を推し測ることができます。
ちなみに、「常時酸性尿
(pH5.0以下)を認める人は、動脈硬化になりやすい」との研究データもあります。

⑥白血球

 膀胱炎、腎盂炎など尿路感染症に欠かせない検査ですが、試験紙による検査は不確実で顕微鏡検査が必要です。
なお、尿路に通過障害があってで
きる水腎症でも出現することがあります。



第二回 <布団の中で準備運動>

 朝目覚めても、1時間位体は充分に目覚めていません。
睡眠モード→活動モードへの移行期と言えます。この間の激しい運動は禁物で、1日の活動へ無理なくつなげるために軽い準備運動をするのが良いと思われます。特に厳冬の時期は、布団の中でできる軽い運動がおすすめです。
 一推しは深呼吸です。ゆっくりと、腹式吐息→腹式吸息→胸式吸息→胸式吐息→腹式吐息を数回繰り返すと良いでしょう。体が温まり、血液循環を感じられるようになります。
 ※「ドクターUの3分健康法」深呼吸p-12

 のツボ押しは、目がすっきりとして目覚めの方法として効果的です。また、眼球運動も、小脳の活性化を促しバランス力を強化する効果があります。いずれも1、2分ででき、間に深呼吸を取り入れると良いでしょう。
 ※「ドクターUの3分健康法」目p-14、15

1.眼球運動:顔を動かさないで目だけを動かす

 はツボの密集地であり、耳ひっぱり体操、マッサージ、ツボ刺激は全身の血行を良くします。朝の準備運動として最適です。また、胃腸のツボ刺激は、朝の食事・排便に向けて胃腸の働きを整える効果が期待できます。
 ※「ドクターUの3分健康法」耳p-16、17

1.耳ひっぱり体操:息を吐きながら引っぱる

 足のグーチョキパーも、布団の中でできる有効な方法です。
私も時々行っているのですが、気のせいか脳循環が感じられます。また、舌回し健康法と合わせて行うと、dual taskとして認知症予防になると期待できます。
 朝起きがけの運動として、深呼吸、耳のマッサージ、ツボ刺激は特におすすめです。他の方法は、各自取捨選択して下さい。私の場合、15~30分程度行っており、起床後は特に寒い日を除きぶらぶら歩き健康法も取り入れています。
 ※「ドクターUの3分健康法」足p-27、足p-2、ぶらぶら歩きp-29



第一回 <発酵食品と腸内環境>

発酵食品には、ビタミン、アミノ酸など多種の栄養成分、酵素などが豊富に含まれ、健康維持に役立ちます。
また、食品中の身体に有益な細菌(善玉菌)により、腸内細菌叢(腸内フローラ)を整えます。

①腸内細菌の働き

善玉菌:悪玉菌の増殖を抑え有害物質の排出を促すことで、腸内環境を整えるのが主な働きです。
    菌の種類によって、免疫力向上、動脈硬化予防、アレルギー抑制、抗ストレスなど多くの健康効果が得られます。

悪玉菌:動物性蛋白質、脂質を分解し、便として排泄処理をします。
    しかし、増えすぎると、有害物質の発生によりガン、動脈硬化、糖尿病などの病気の原因となります。

日和見菌:善玉菌にも悪玉菌にも属さない菌。
     腸内で多い方の菌と同じ働きをします。

腸内の理想的なバランスは、善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7の比率と言われています。
加齢、食生活、運動不足、過労やストレスなどによって変化するので、日々の健康づくりが大切です。

②腸内環境を知るには?

腸内環境の悪化は、肥満、糖尿病、ガン、動脈硬化、アレルギーなどの促進要因となりますが、下表のように便の観察で知ることができます。

③発酵食品と腸内環境

発酵食品は善玉菌を多く含むため、腸内環境を整える効果があります。
生きたまま腸に到達すれば菌特有の効果を発揮できますが、死菌でも腸内の善玉菌との餌となるため有益です。
また、以下のポイントに注意すると、より効果的です。

腸内環境改善のポイント

1)発酵食品は、毎日続けて食べる

発酵食品に含まれる善玉菌は、腸内に定着することはなく、補充が必要となります。
※医家向け生菌製剤は、生きたまま腸に到達するように開発されたものですが、その選択、量など今後の研究課題です。

2)善玉菌の餌となる食物繊維、オリゴ糖を含む食品を一緒に食べる

これらを豊富に摂ることが善玉菌を増やすコツです。
食物繊維:野菜、海藻、無精製の穀類、果物
オリゴ糖:玉ねぎ、バナナ、キャベツ、ニンニク、アスパラガス、ごぼう

3)発酵食品同士の食べ合わせを工夫する

④各種善玉菌とその特徴

同じ仲間でも菌によって働きが異なるので、あくまでも発酵食品選考のためのおおまかな目安と考えて下さい。

1)乳酸菌

2)納豆菌

納豆菌は厳密には腸内細菌とは言えませんが、下記の如く腸内細菌叢の改善に役立ちます。
また、とても強いので生菌のまま腸に到達します。

3)酢酸菌:未精製の酢、コンブチャ(紅茶キノコ)、ナタデココ、カスピ海ヨーグルト

各種の食用酢は酢酸菌によって作られますが、製造過程で「にごり」を濾過するため菌は含まれていません。
酢酸菌を含む未精製の酢は、市販されている他、家庭でも果実を用いて作ることができます。

4)麹菌:味噌、醤油、塩麹、甘酒(麹甘酒)

味噌、醤油、酒づくりに利用されるなど日本の食文化に深く浸透し、「国菌」にも認定されています。
また、種々の酵素を生み出すことで、下記の健康効果が得られます。